傾斜の急な駐車スペースと道路への段差の解消のご依頼を頂きました。
傾斜は水はけはいいのですが、車の乗り入れの際、勢いよく上がるので建物との衝突も懸念されます。
道路から土間への段差は、足元に気を付けないと転倒する危険があります。
駐車場土間の切り下げ
施工前
段差は小さく見えますが、認識が無い状態や、夜などはつまづいたり、踏み外したりする危険があります。
ひび割れは、地震や経年劣化で出来ますが、ガラスのヒビと同じで少しずつ伸びていきます。
写真ではわかりづらいですが、傾斜もなだらかな状態ではありません。
雨水用のマスからのヒビが目立ちます。
カーポートの雨樋は、破損し建物の角に溜まった雨水の流れををせき止めるような状態で、
基礎を添うように水はけが悪かったことを示しています。
樋の下を一方向へ流れた跡もついています。
境界ブロック塀を基準に勾配が大きかったことがわかります。
電柱をかわして駐車されていますが、真っ直ぐに入れないとぶつかりそうです。
※電柱は、関西電力様により後日撤去されるそうです。
コンクリートの解体
コンクリートの厚みとスペースを考慮し、重機による解体作業となりました。
ユンボのバケットを油圧ブレーカーに替え、振動で砕いていきます。
重機が入らないような狭い場所や基礎際などは人力による解体となります。
砕いたコンクリートガラを撤去した状態です。塀に線を入れていますが、かなり傾斜がありました。
カーポートは後ほど撤去しました。
土のスキ取り作業
盛られていた土を取り除きます。コンクリートの下は、粘土質の赤土でした。
建物の基礎部分を見ればわかりますが、切り下げにより、赤い矢印の部分が露出します。
砕石と新たに施工するコンクリート部分で少し高さは減りますが、「これだけ下げた」という跡は残ります。
雨水マス・排水パイプの仕込み
高さが変わったので、雨水マスと排水パイプを低い位置へ埋め込みます。
建物の雨樋も埋め込んでしまいます。
排水パイプの埋込みなど、細かい作業をするときは、小型のユンボが活躍します。
排水パイプを埋めるときは、パイプの勾配や歪みを軽減させ固定するために、パイプの下側や側面に砂や細かく粉砕された砕石などを敷きます。
埋戻し・地ならし
配管の上に元の土をかぶせ、表面に砕石を敷き詰めます。
土の上にコンクリートを流すと水分が地面に逃げたり、逆に水分をもらったりします。
砕石を敷く理由は、地面のレベルを合わせる他、コンクリートの硬化不良を防ぐ為です。
砕石を敷いて、転圧をし、締め固めます。
地盤の地耐力を安定させ、砕石が土に刺さりすべりを抑える役目をします。
ワイヤーメッシュ敷き
ワイヤーメッシュをコンクリート打設箇所に敷き詰めます。
駐車スペースですから、コンクリートの亀裂防止・ヒビ割れ防止の為です。
※絶対亀裂が入らないというわけではありません。
隅々までワイヤーメッシュを張り巡らせます。
この時、地面に敷くわけではなく、ピンコロという四角いコンクリートのサイコロを点在させワイヤーを浮かせます。
コンクリート打設
生コン車から直接コンクリートを流し込みます。
通常、車が入らない場所へは一輪車で何度も往復して流し込みますが、
道路に面した場所なのでそのまま流し込めることができました。
流し込んだコンクリートを、トンボで平らにしていきます。
施工前ほど傾斜はないですが、水はけの為、少しだけ傾斜をつけています。
ワイヤーメッシュがコンクリートの間に入る状況になります。
コンクリートを平らにした状態です。
この後、何度かコテで押さえていきます。時間を置いて硬化を見ながら何度か押さえることにより、強度が増します。
側溝との段差は解消されています。
コンクリートの養生期間は季節にもよりますが、1週間~10日くらいです。しかし、なるべく長くとる方が耐久性等においてより良い状態になります。
早期に駐車してしまうと、表面に傷がつきます。
施工後
家の外壁を見ていただければ一目瞭然です。
傾斜を切り下げたことにより、埋まっていた外壁があらわになりました。
玄関アプローチはまだ少し高いので、緩やかなスロープ状にコンクリートを作り、
刷毛引きでザラザラ感をつけたことにより、雨の日などの滑りを軽減させます。
後は電柱が撤去されればスムーズに駐車できるようになりますね。